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サイバー犯罪捜査官の試験を受けてきました

表題の通り、ご縁があり、サイバー犯罪捜査官の試験を受けて参りました。
試験の詳細については書けません。ブログにすること自体が怒られるかもしれません。ただ、サイバー犯罪捜査官を受験した人の生の声があまりにも少なく、受験前の情報収集として非常に苦戦したのと、見る限りでは多少の誤解があるのではと思い、自分の反省点や失敗談を織り交ぜて綴っておきたいと思います。

対策だけ知りたい方は、後半(黄色マーク部分)をご覧ください。
ここからは余談です。

自分から興味があり挙手していたものの、自信がなかったので放置していたところ、警察本部からお電話をいただきました。近所の警察署ではなく本部だったので驚きました。当時、興味本位で偽サイトの解析や探索をしていたので、何か法に触れてしまったのかと焦りました。
電話の内容としては、私の条件でもサイバー犯罪捜査官の受験ができるとの旨でした。

ダメ元で受けてみるかと申し込みを行うも試験まであと1ヶ月。
私の知能ではどう逆算しても間に合いません。
体力をつけて、試験内容や面接対応を調べて想定することで必死でした。

不安な中、再び警察本部からお電話をいただきました。
ぜひ申し込んでみてくださいとの旨。
申し込みはしたが全く自信がないことを伝えました。

そして、あっという間に体力試験・面接・専門試験等が始まりました。
時間が足りないとは言え、生半可な気持ちでは受けていません。
志は高まるばかりでした。

結果は・・・不合格です。
何も秀でた結果が残せていません。
ただし、欠員が出た場合は候補生となっている模様です。

このブログを書くことで候補生の資格も失われるかもしれませんが、自分の人生としてはかなり衝撃的なイベントでしたし、最初で最後の挑戦となる人がいるかもしれないので、私のように悔いを残して欲しくないとの思いで記録します。

先ず、サイバー犯罪捜査官の倍率ですが、不明です。
応募者は少ないものの、受けても落とされている様子が散見されます。
一方で、通常の警察官は5~7倍のところもあるようです。
地域差が激しい印象にあります。

2年ほど前から、サイバー犯罪捜査官およびサイバー犯罪特別捜査官において、募集対象者の年齢が大幅に引き上げられました。地域差はあるものの、30~50代でも受験が可能です。そのことすら、私は知りませんでした。

ただ、たまたま、申し込み前に自分の興味関心が自然とリンクしていました。

①相談したいことがあり警察官と話す機会があった。
②サイバーボランティア団体を探していた。
③武道をやってみたいと思い、地域の道場を見つけ、家族にも承諾を得ていた。
④警察車両が好きで、我が子も警察官が大好きなのでよく見に行っていた。
⑤何らかの形で地域に貢献したいと思っていた。
⑥商売軸ではない仕事に憧れがあった。

過去に、男として生まれていたら警察官になってみたかったなと思う時はありましたが、年齢的にもご縁があるとは微塵も思っていませんでした。
ただ、電話をいただいてから調べるにつれ、自分の関心事や信念が見事にマッチして、鳥肌が立ったのを覚えています。

地方の中でもかなりの山奥に住んでいて、しかも世間ではフルリモートの逆風がある中、セキュリティ上の懸念点からしても、私のレベルでエンジニアとして生きていくには引っ越ししかありません。
某社から内定はいただいていたものの、フルリモートは厳しいとのことでした。
引っ越しも考えましたが、大手などの一部を除き、半永久的な雇用どころか1~2年継続できるかどうかも保障されていないのがIT業界の現実です。
そんなこんなで諦めて、飲食店開業のための資格を取得し、店舗のことなどを交渉して、周りを巻き込んで準備を進めていた中でのサイバー捜査官。
当然ながら義両親を含め家族もビックリです。
でも、誰も反対はしませんでした。

長くなりました。また、時系列が前後してすみません・・・。結果と経緯はおおよそこのようなところです。
ここからは対策すべきことや反省点を綴りたいと思います。

※地域差がありますので、参考程度になさってください。

※試験の詳細や具体的な質問項目については書けません。また、質問されても答えられません。ご了承ください。

※私はサイバー犯罪捜査官の枠で受けました。サイバー犯罪特別捜査官の場合は追加の試験があります。

対策や反省点などなど

① 面接の形式
面接で聞かれそうなことは調べていたものの、面接の形式(人数や配置)については調査不足でした。想定した構造とは異なり、緊張も相まってミスを連発しました。一般常識と言えばそうなのですが、私のようにオンライン面接ばかりをやってきた人も多いのではないでしょうか。
事前に聞いておくか、色んな形式の面談を設定して、実際に何度か練習しておくことをおすすめします。恐らくですが、面接官とは別のポジションにいる人が一番偉い人です。去り際にご挨拶を忘れずに。

② 文字の筆記
私には秀でた学歴も経歴もなければ、能力としてもスマートさに欠けています。計算は全て機械任せ、予測変換により文字の読み書きも危うくなっています。何より驚いたのが、自分の字の汚さです。以前はここまで酷くありませんでした。習慣は恐ろしいものです。PCに慣れている人は、物理的な文字の読み書きを鍛えておきましょう。

③ 意外と技術的な質問が無い
エントリーシートもそうでしたが、面接の中でも技術的な問いは拍子抜けするほど少なかったです。聞かれても簡潔に終わってしまうので、理由を聞かれたり深掘りされることがありません。エントリーシートに無理矢理にでも絡めて技術的アピールを盛り込むべきでした。

④「自信がない」をなくすこと
自信を持つことは当然といえば当然ですが、私は自信のなさから阿呆な回答をしてしまいました。詳細は伏せますが、自分が目立ちたいだけかのように誤解される内容を述べてしまいました。本心はそうではなく、今たちまち自分にできることはそのくらいだと思ってしまったからです。
技術的な特技として言えることはありましたが、そのくらい誰にでも出来るのではと思い封印してしまいました。言えるタイミングがその1回きりだったので激しく後悔していますし、恥ずかしい思いでいっぱいです。

⑤ 詰められない怖くないむしろ単なる確認作業です
覚悟してトークで戦う気でしたが、非常に穏やかで簡潔な質問ばかりでした。圧迫感は全くなかったです。私は緊張すると頭が真っ白になるタイプですが、そのような私でもスラスラと話せる雰囲気でした。ただし、制限時間があるようで、自分から具体的に話したり説明できる雰囲気はありません。結論としては、技術的なアピールは全てエントリーシートなどの紙に書くべきでした。

⑥ 体力テストの採点をなめちゃダメ
「運動が得意でなくても大丈夫!」とアピールする部署がありますが、私の署は他県よりも求められる基準が高かったです。筋力系は回数とスピードを重視してください。あと、早朝からトレーニングをしていましたが、それも失敗でした。問題は気温です。真っ昼間の暑い中で練習すべきでした。

⑦ 食事は速やかさをアピールしよう
食事中も担当者は見ています。採用基準にしているかは不明ですが、速やかさを見せるべきだったかもしれません。皆があまりにも静かに食べるので、音を立てないようゆっくりと食べてしまいました。

⑧ 適正検査はスピードを意識せよ
想定とは異なるテストが出てきました。練習をすれば結果が異なると思います。どのような検査であっても対応できるよう備えておきましょう。

⑧ 公務員試験をなめたらアカン
遙か昔に習ったことなんて忘れているし、難しくて手応えが皆無でした。対策なしでは厳しいです。

⑨ 専門試験をなめたらアカン
これが一番ビックリしました。悔しくて試験後の2週間は猛特訓をしたので、今であればもっと解ける自信がありますが、全然易しくないです。

⑩ 道具は新品を揃えよう
私はケチって長年放置していたパンプスを履いていきました。もちろん、綺麗に磨いてきました。しかしどうでしょう、体力テストのため脱いだ途端、ボロボロに。歩いている途中でも崩壊しました。身につけるものは新品で勝負しましょう。

⑪ 耳からの情報処理を鍛えておく
これは私の最大の欠点かもしれません。
例えて言えば、「今からフライパンに油を広げたいと思いますが、その前にブロッコリーをレンジで3分温め、フライパンに油を広げた後はタマゴを35秒で焼いてください。料理長がやって来たらコンロの前に立った丁度のところで挨拶をし、12秒後に料理の出来具合を報告してください。」といった情報を一度聞いただけで覚えて理解せねばなりません。しかも早口です。1度ではなくこのようなことが連続します。文字であれば理解できますし暗記も可能ですが、私は耳で聞き取ることが極端に苦手であることが判明しました。聞き取れても情報を上手く処理できず、ミスを連発しました。

⑫ 筆記道具は一式を
指定の濃度の鉛筆と消しゴムを持ってくるよう書かれていましたが、皆、ボールペンと鉛筆とシャーペンと消しゴムを持ってきていました。持ち込み禁止と書かれていない限り、筆記道具はこの4点を揃えて持っていきましょう。

⑬ 試験前から試験は始まっている、試験後も試験は続く
気のせいかもしれませんが、そう思う事が何件かありました。日頃の言動に気をつけておきましょう。また、提出書類に関する細かいルールについても何度もしっかりと見直しておきましょう。

⑭ サンプル問題をかき集めるべきだった
試験が終わった後に公務員試験のサンプル問題の存在に気づきました。本を買って準備することがベストですが、私のペースと期間では間に合いそうになかったので、最低でもサンプル問題の収集をすべきだったなと今になって思います。

現時点で思いつく対策は以上です。

驚く人もいるかもしれませんが、フルリモートの習慣がついてしまったパソカタ人間からすると、この辺りは脆弱性と言えるのではないでしょうか。


勝手にQ&A(※個人の感想です)

Q.試験や面接を受けて良かったですか?

非常に良かったです。
健康的になり、精神的にも鍛えられ、背筋が伸びました。自分の弱点が明確になり、警察署が求める人物像についても深く理解ができました。やり直したいです。゚(゚´Д`゚)゚。

Q.どのくらいのレベルがあれば基準を満たせそうですか?

基本情報技術者~応用情報技術者~CISSPないしCCNAレベルかと思います。
ITパスポートや情報セキュリティマネジメントレベルでは歯が立たないです。

Q.スーツがありません。

買いましょう。私服でも合格者する人はいますが、大体が制服かスーツです。

Q.勉強が苦手です。

人のこと言えませんが、向いてないと思います。でも努力は意外と報われます。頑張ってください。

Q.怖そうな人、ヤバそうな人はいましたか?

いませんでした。THE 真面目です。
最近は特に、パワハラ系の人はお掃除されているようです。

Q.元警察官のアドバイスを聞くべきですか?

採用イベントが開催されておりますので、現役の警察官に聞くことをおすすめします。

Q.ポートフォリオの提出はできますか?

基本的に提出は求められていません。
セキュリティ的にも、感覚的にも、求められているのは成果物よりも言語化です。

Q.腕試しに受けてみようと思います。

時間と労力と税金が使われています。迷惑となります。

Q.警察官に技術的な話が通じるでしょうか?

専門の人がいます。なめてはいけません。

Q. トイレに行く時間はありますか?

何度もあります。ご安心ください。

Q.視力が良くないです。

私も眼鏡がないとはっきりとは見えません。
眼鏡をかけた状態、即ち、矯正視力が基準を満たしていれば問題ありません。
身体検査や視力検査の際にも眼鏡を持参しました。

最後に思うところ

私が見た警察を一言で表すと「武士道」でした。

世の中には「警察官はレベルが低い」と指摘する人がいますが、私はそうは思えません。
幻想を抱いているわけではありませんが、体力、能力、精神力、品行方正を目の当たりにして感動しました。

警察官は何十万人もいますから、中には問題のある人もいるかもしれませんが、冷静に考えて何十万人もの人間を管理し続けていること自体が凄いです。
寝不足と疲労の限界の中で対応している警察官もいます。どうか顔や姿を無断でネットに晒さないで欲しいものです。

というわけで、サイバー犯罪捜査官およびサイバー犯罪特別捜査官が各都道府県で求められています。

能力があって志の強い方は是非とも挑戦してみてください。応援しています。

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